イベント開催レポート / フィールドワーク in 北広島町(大朝エリア)

ひろしま里山・チーム500では、令和7年11月9日、北広島町大朝エリアを舞台に「関係人口を生む地域づくり」をテーマとしたフィールドワークを実施しました。本企画は、地域で活動する事業者の取り組みを現地で学び、地域と都市部をつなぐ新たな関わり方を考えることを目的として開催したものです。当日は、約20名が参加し、午前・午後にわたるプログラムを通して大朝の魅力と可能性を体感しました。
■ 午前の部:大朝エリアの4つの拠点を視察
午前は、大朝地域で地域資源を活かした取り組みを進める4つの施設を訪問し、オーナーから事業の背景や思いを伺いました。それぞれが異なる形で地域の魅力を発信しており、多様な取り組みを知る貴重な時間となりました。
① 福光酒造
地域で長く親しまれてきた酒蔵で、一度は廃業したものの、2019年に再び事業を立ち上げられた経緯についてお話を伺いました。現在はどぶろく醸造を中心に取り組まれており、「もう一度この地で酒づくりを続けたい」という強い思いが復活の原動力になったことが印象的でした。小さな酒蔵でありながら、地域に人が集う場としての役割も担っており、地元の賑わいづくりにもつながっている様子が感じられました。

② Blue Art Guesthouse
海外勤務を経てUターンしたオーナー夫妻が、実家をDIYで改修して開業した一棟貸しゲストハウスです。建物の雰囲気や室内のデザインは、ご夫妻の思いやストーリーを感じることができました。

③ 田中屋 および 土居田屋
茅葺屋根の古民家を改修した一棟貸しの宿泊施設を訪れ、古民家ならではの趣を残しながら、内部は快適な空間に整えられている様子についてお話を伺いました。家族やグループでの滞在に適したつくりとなっており、地域の暮らしを心地よく体験できる宿となっています。
あわせて、隣接する「土居田屋(どいたや)」についての説明もありました。築130年を超える古民家で、納屋や蔵を含む建物を活用し、これまでに「たんぼゼミ」やこどもキャンプ、大学生や企業の研修など、さまざまな活動の場として利用されてきたとのことです。世代を超えて人が集い、新しい学びや交流が生まれる場所として親しまれており、これからも地域の動きを支える場になっていくことが感じられました。

④ 太田屋
山里の暮らしを体験できる一棟貸しの宿で、薪割りや木こり体験、五右衛門風呂、かまど炊飯など、昔ながらの暮らしを体験できるプログラムが用意されています。
当日は、木こり体験とかまど炊飯を実際に行い、参加者が自然と触れ合いながら地域の文化を体感する時間となりました。

■ 午後の部:オーナー3名による対話とワークショップ
午後は、午前中に訪問した宿泊施設のうち3名のオーナーをゲストに迎え、地域づくりに関する対話とワークショップを行いました。
● キーワードは「エコ旅」
議論の中心となったのは、「エコ旅」という視点でした。
オーナーごとに価値観は異なるものの、いずれも“自然・文化・暮らし”を大切にする姿勢が共通しており、多様なアプローチが中山間地域における新たな魅力の再発見につながることを確認しました。
● ワークショップでは3つの視点から意見交換
参加者は以下の3つの切り口で意見出しを行い、地域との関わり方を多面的に検討しました。
「事業者・地域として、どのように関わってもらいたいか」
「企画者として、どのような企画がつくれるか」
「関わる立場として、どんな関わりを求めるか」
多様な立場から意見を交わすことで、地域と都市部の双方にとって価値のある関係づくりのヒントが生まれました。

■ まとめ
本フィールドワークでは、地域で新たな挑戦を続ける事業者の姿勢や、地域資源を活かした宿泊施設の魅力を、参加者が現地で直接感じ取る機会となりました。また、「関係人口」を育んでいくためには、地域の実践者、都市部の参加者、そして企画側が、それぞれの立場から価値を共有し合える場づくりが重要であることをあらためて認識する場となりました。
今後もチーム500では、地域と都市部をつなぐ取り組みを通じて、地域で活動するプレイヤーの挑戦を後押しし、多様な関わりが生まれるきっかけづくりを進めてまいります。